座談会 | 「電気の性質のしらべ方」探求学習の実践をめぐって 開発、実践に参加した富山県の諸氏 (明瀬、奥平、加賀谷、北、杉本、高畠、土生居、盛野、米島) |
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解 説 | 能力開発工学センター事務局長 小澤秀子 |
「人間が学習するということは新しい行動を創ることであり、その新しい行動=形成の原動力になるのが探究的行動力である。」 これは矢口教育学が人間の学習にアプローチするときの一貫した基本姿勢である。矢口新先生ご自身が卓越した探究的行動力の持ち主であったことは、研究開発や教育革新運動を共にした全ての人々の認めるところであり、ご自身の死に至る病をも探究の対象にして克明にデータをとり自ら解析された行動の事実がよく物語っている。
すべての学習の原動力であるだけに、探究行動の形成は学校教育の中で極めて重要な位置にある。矢口教育学がこの探究行動の形成に真正面から取り組んだのが、昭和40年代後半から50年代の初めにかけて研究開発した「小・中・高を一貫した電気学習システム」(この研究は文部省科学研究費の補助を受けている)である。
開発された膨大な学習プログラムと教材群は、矢口先生を先頭にした関係者の探究三昧によるものである。この学習システムは、富山県下の小・中・高校で大がかりな教育実験が行われて、実験に携わった教師と児童・生徒に驚きと感銘を与えた。
本巻では、矢口教育学における探究行動形成のモデルとして、上記の電気学習システムの研究報告((財)能力開発工学センター研究紀要)を収録した。また、富山県における教育実験の様子について、当時現場で直接教材開発と実践指導に当たられた先生方に語っていただいた座談会が巻末につけてある。