1977~78年
現在の学校教育における知識注入方式、また、数学の体系をバラバラにして学年に振り分けた数学教育は、いかに多くの数学嫌いを出しているか。その現状に楔を打ち込みたいとの思いから、1977年自主研究としてスタート、他のシステムの開発の合間をぬって開発された。
数学的に物事を考えることの楽しさ、面白さを多くの子どもたちに体験させたい、それがこの学習システムのねらいである。具体的現象の中から、数的に整理できる法則をみつけ、その見出した法則でもって自分の周りの諸現象を整理するというのが、数学の面白さなのである。
プログラムテキスト方式*であるが、具体的な事例と思考を助けるための教材を各種用意した。また学年によって断片的に切り分けた構造でなく、できるかぎりの範囲で体系づけたカリキュラム構成を心がけた。
研究は、諸般の事情で中断したが、数学教育における問題点は現在も変わらず、この学習システムの必要な状況は今も続いて存在している。
章 | 内 容 | ステップ数 |
第Ⅰ章 数とは何か | 1.「数」は何をあらわすか 2.さまざまな事柄についての数の使い方 |
376 |
第Ⅱ章 正の数,負の数 | 1.数につける+とーの符号 2.数の系列とは何か 3.負数を含む計算 |
541 |
第Ⅲ章 集合 | 1.数と集合 2.全体集合と部分集合 |
111 |
第Ⅳ章 式とその計算 | 1.式をたてる 2.文字式のたて方 3.文字式の計算 |
231 |
第Ⅴ章 方程式 | 1.等式と不等式 2.等式と不等式の計算 3.方程式の利用 |
327 |
計 | 1586 |
学習の主体は学習者。行動をプログラムしてあるテキストを使って自主的に学習を進める。一人でも学習できるが、3~4人のグループで学習し、共に考える楽しさを味わうのが望ましい。
グループワークの進め方をアドバイスしたり、思考を進める上でのヒントを出したりするなど、インストラクターの働きは、知識の伝達者ではなく、学習の場づくりをするものとして重要な存在である。